土を耕すという常識に根拠は無かった

デイビッド・モントゴメリー著『土の文明史』に、このような記述がある。

耕起については、苗床を準備する、作物残渣や堆肥や化学肥料を土と混ぜる、春には土を乾かし温めるといった説明が一般的にはなされている。それにもかかわらずフォークナーの教授たちは、実は自分たちも、まず最初に耕すことが必要な本当の科学的理由をはっきりとは知らないのだと、きまり悪そうに認めた。

デイビッド・モントゴメリー著『土の文明史』

耕起(土を耕すこと)は農業の常識でありながら、なぜ耕すのかを真剣に考える者はほとんどいない。

「農業とはそういうものだ」と疑わない。

一種の信仰のようなものだ。

耕すことのメリット

一番のメリットは効率化だと思われる。

農作物の収穫後、お掃除のごとくキレイさっぱり。

農業は効率化を求め続け、新たな農業機械を開発しつづけている。

技術革新の甲斐あって、すさまじく効率の良い農業により農作物の大量生産が可能となった。

世界中でフードロスが問題視されるほどに。

耕さないことのメリット

労働的メリット

耕さないのは、なにより労働力削減になる。

普通なら重機を使うことを考えれば、燃料費の削減にも。

環境的メリット

一番のメリットは土壌環境の改善だ。

植物が根をはった後、土の中に微生物の住まいができる。

より多くの微生物が住みついてこそ、良い土になり、良い野菜を育てることができる。

肥料はそれだけで野菜の栄養とはならない。

分解して植物が使える形の栄養にする微生物のたまものである。

微生物が人間を生かしている

人間が生まれるはるか昔から存在する微生物。

あらゆる地球上の生命体はこれら微生物なしに成り立たない。

多くの食べ物が、口に入れて消化されても直接栄養にはならない。

分解して人間が使えるかたちの栄養にしてくれる微生物が必要だ。

腸内環境に住まう微生物がいなければ、食べ物から栄養を摂ることができず、生きることもできない。

そもそも人間の体の90%は微生物だ。

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